- 2025年5月17日
牛?馬?
5月17日は英国の偉大なお医者さま、エドワード・ジェンナー (1949-1823) さんのお誕生日。

「種痘を行うジェンナー」(Wikimedia Commons、作者:Ernest Board、パブリックドメイン)
酪農地帯の開業医さんだったジェンナーさん、牛痘(あまり重症じゃ無い)に罹患したことのある農夫は天然痘(死に至る伝染病)に罹りにくいことに目をつけて
牛痘の膿を傷口に塗るという「接種」方法で、天然痘の発症を防ぐという「ワクチン」の先駆けとなる手法を実証して発表した方ですが
当時は「接種されたら牛になる!」などと悪い噂が立ったりして、賛否両論。
今も昔も「ワクチン」は人々の話題の種ということでしょうか。
さてこの「ワクチン」という名称。
1801年のジェンナーさんによる “On the Origin of the Vaccine Inoculation”
~ワクチン接種の起源~、が「ワクチン」なる言葉が最初に使われた論文といわれてます。
牛痘 “Variolae vaccinae” が由来ということ(ラテン語で雌牛は Vacca)ですが…
実は1930年代以降の研究で、天然痘の予防に効果のあった(交差免疫)のは厳密には牛痘ウィルスではなく、とってもよく似たウィルスだと判明し、これは「ワクシニア・ウィルス」と名付けられました。
さらに「ワクシニア・ウィルス」は馬の踵ガ腫れる「グリース」という病気のウィルスなのだそうで…
実はジェンナーさんの実験、牛痘は天然痘に効果は無くって
たまたまその牛さんが罹患していた(酪農地帯だから、近くにいた馬から不顕性感染してた?)ワクシニア・ウィルスを血中に持っていたのでは?という説も唱えられたりしています。

今昔なにかと話題の「ワクチン」
牛が語源と思いきや、馬かも知れない、という医学の偶然というか、奇蹟のお話。